2014年3月6日木曜日

 Die Blechtrommel (1979) - Maurice Jarre 
戦後ドイツ文学の最高峰と云われるギュンター・グラスの小説を
当時・西ドイツの監督フォルカー・シュレンドルフが
満を持して映画化した此の「ブリキの太鼓」は
ナチス・ドイツに占領された頃のポーランドに生まれた
異端の少年の目を通して描いた暗い時代の物語。
東欧の風土を切り取った重い映像に付けられた
彼の音楽は、それまでの勇ましく華麗な
「アラビアの・・・・」や「ドルトル・ジバゴ」等と
同じ作曲家とは思えない作風で此の作品に挑み
あの時代の陰湿な空気を見事に表現するものであった。
幼くして大人の裏世界を見てしまった少年オスカルの
哀しみをサキソフォンやクラリネットが嘆き、ブリキの太鼓が叫び
ジンタが踊る、音楽構成は此の映画の完成度を高め
それは映画史に残る傑作にしたと云っても云い過ぎではない。
映像と音響の相乗効果を知り尽くした
天才モーリス・ジャールならでは技であろう。

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