赤い影法師
UDJの、もう一つのペンネーム”言問橋蔵(こととい はしぞう)”は
往年の映画スター大川橋蔵から来ている。
若い頃、似ていたから(嘘)
昨日のBSで大川橋蔵主演の此の映画をやっていた。
柴田錬三郎が週刊文春に連載していた小説の映画化だ。
柴錬と云えば転びバテレンとのハーフ「眠狂四郎」が有名だが
此の映画でも主人公”影”は関ヶ原で敗れた石田三成の残党で
木曽谷の忍者だが、母が父親の名を明かさず
”私の父は誰なのだ?”と悩む。
此の母”母影”も、くの一 なのだが木暮実千代が演じていて
肌に弁天様の刺青が色っぽい。
大川橋蔵は忍者にしては美男過ぎて嘘っぽいが
此の頃の東映時代劇はみんなそうだから仕方ない。
時は将軍・徳川家光の頃
此の主人公”影”が”母影”と共に江戸に現れ
家光の御前試合で勝者に与えられる
太閤秀吉の倉から取り上げた無名剣十振を
奪い返そうとする話。
此の試合に出場する武芸者達のキャスティングが面白い!
懐かしい東映時代劇の俳優オンパレードなのだ
まず審判に大河内伝次郎、黒川弥太郎そして武芸者は
大友柳太郎、品川隆二、原健作、里見浩太朗、山城新伍、
吉田義夫に東野英治郎と次々に登場
それらの武器も二刀流有り、鎖鎌あり、手裏剣と
バリエーションに富んでいて飽きさせない。
そしてナギナタを使う女剣士に大川恵子
此のお姫様女優は早めに銀幕を去ったが
此の映画では大川橋蔵に敗れ、犯されてしまう。
まあ大川橋蔵がレイプするというのが似合わないが
柴田錬三郎・原作だからね。
そう、負けると女は体も奪われるというのが此の映画のミソで
実は母影も昔、父・石田三成の仇・家康を討とうと伏見城に
忍び込み、護衛の服部半蔵(近衛十四郎)に捕われ犯されていたのだ。
だから”影”の父は服部半蔵というのが途中で明かされる。
しかし、どちらの女も自分から求めて体を与えているのが
柴錬らしく、当時、藤原審爾の「赤い殺意」なんて
小説も有ったから来んな題名に成ったのかも知れない。
映画の冒頭、家康の命を狙う、くの一の木暮実千代を
上から押さえ込んだ服部半蔵・近衛十四郎が
「動くな!動くとワシの体が燃えて来る」というセリフに笑った。
そんなワケで東映時代劇らしくない愛憎入り乱れた展開を
テンポ良く娯楽作品に仕立てているのは
多くの”プログラム・ピクチャー”と呼ばれる
2本立て興行の映画館の上映時間に合わせた
中長編を得意とした監督・小沢茂弘。
他愛ないと云ってしまえば、そうだが懐かしさで
つい夢中に成ってしまう映画だ。
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