夕陽の挽歌
ブレイク・エドワースと云えば
オードリー・ヘプバーンの「ティファニーで朝食を」とか
ピーター・セラーズの「ピンク・パンサー」シリーズと
洒落たセンスのコメディ映画の得意な監督と思っていたが
先日BSで放映された此の西部劇には驚いた。
殆どアメリカン・ニュー・シネマである。
作られた年代(1971)が、その時期と云ってしまえば元も子もないが
それまでの勧善懲悪、ハッピーエンドの西部劇とはヒト味違う
時代に取り残されたカウボーイの末路を描いている。
それは主演のウィリアム・ホールデンが、先に演じた「ワイルド・バンチ」同様
この映画でも、ハミ出し者として追われる逃亡劇なのだ。
なぜ逃亡しなくてはならないか?というと
「俺たちに明日はない」と同じく銀行強盗するからだ
でも共演者が「ある愛の詩」の二枚目ライアン・オニールだから
男同士の友情に甘さが加わり、親子ほど年が離れているのに
その道行きは、どことなく怪しく
「真夜中のカーボーイ」や「スケアクロウ」のムードも。
そしてカメラは「明日に向かって撃て!」の様に
斜光をメインとした美しい映像でモンタナ、アリゾナ、ユタと
モニュメント・バレーを中心とした壮大なロケーションが楽しめる。
特にモンタナの雪のシーンの美しさは此の映画のハイライトと云って良い。
ラストに「俺たちに・・・」や「明日に向かって・・・」の様な
派手な撃ち合いが有る訳でも無いが、妙に心に残るエンディングだ。
”ムーン・リバー””酒とバラの日々”と主題歌の得意な監督だが
音楽ジェリー・ゴールドスミスに作らせたと思われる
ウィリアム・ホールデンが口ずさむ戯れ唄が何とも切なくて
日本の配給会社が勝手に付けた題名だと思うが
まさに”夕陽の挽歌”というに相応しい。
付け加えればカール・マルデン、ジョー・ドン・ベイカー
トム・スケリットと云った名傍役が映画に奥行きを出している。
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