2024年3月17日日曜日

河(1951) ジャン・ルノワール監督作品
231オーディトリアムで野崎 歓教授の解説付きで此れを観た。
ジャン・ルノワールは、あの印象派の画家ルノワールの息子。
親が天才だと子は、そうでも無いのが多いが
ルノワール家に関しては、そうではなくて
野崎教授によれば映画作家として親以上の才能が有ったと語る。
まず、何故ジャン・ルノワールはフランス人なのにアメリカ映画なのか?
それは彼は既に映画監督として「大いなる幻影」等で成功していたが
フランスがナチに占領されそうになりパリから逃れて
ポルトガル経由でアメリカへ亡命した事による。
しかしハリウッドは彼の撮影スタイルに合わなかったようで
「南部の人」「小間使の日記」を撮った後彼は海外に、その場を求めた。
英国女性作家ルーマ・ゴッテンの小説・河の映画化である。
自ら小説の舞台で有るインドに赴き、その背景を調べ
原作者を自宅に呼んで、もう此の小説を読むのは辞めましょう!と
彼女と共同でオリジナルの脚本を書き上げた。
だから原作にない登場人物や出来事が出てくると
野崎教授が、その事情に詳しいのはジャン・ルノワールが
自伝を出版しているからだろう。
それでも教授が熱く語るのは監督ジャン・ルノワールが
第一次世界大戦で負傷し、此の一見
若草物語のような少女達の青春ドラマに彼の反戦の想いが
強く反映されていると。
当時は珍しいインド・ロケに彼は初めてのカラー作品にした。
それはインドの印象がカラーでしか描けないと思ったからか。
とにかく色彩鮮やかな祭事や花々が咲く風景は
、彼の甥のカメラマンをフランスから呼んでフレームに収めたという。
私が思い出した映画はマルセル・カミュ監督の「黒いオルフェ」
それの音楽サンバとボサノヴァと同じ様に民族楽器シタールで
全編を構成し、部分的にクラシック音楽も効果的に使うなど
正に父親以上の映像作家であった事が分かる。
私のDVDコレクションは戦前の監督まで集めて無かったが
ジャン・ルノワール作品
「ボヴァリー夫人」「大いなる幻影」「ゲームの法則」に
「草の上の昼食」と観るまではまだまだ死ねないぞ!
此れは、父ルノワールが描いた息子。
つまりジャンの子供時代。
これとそっくりな少年がコブラに噛まれて死んでしまう。
その無常感が此の映画のコアだ。
それが彼と親交が有ったというインドのサジット・ライ監督の
「大地のうた」に影響を与えていると私は思う。




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