2022年12月5日月曜日

黒澤明の映画音楽#11
天国と地獄 (1963):佐藤 勝
「用心棒」が当たって柳の下の泥鰌「椿三十郎」は詰まらなかったが
ラストの血飛沫の仕掛けで、また受けて
流石に3作目を作る訳には行かず又脚本家を集めて
作ったのがエド・マクベインの87分署シリーズの”キングの身代金”を
ベースに誘拐犯罪映画。
三船敏郎の敵役から、いきなり主役に抜擢された仲代達矢を
中心に据えたキャスティング。
クロサワ作品お馴染みの俳優を贅沢に起用して居る。
今観るとマスコミの扱い方に不自然さは有るものの
当時まだ新幹線は無かったが急行こだまを使った
身代金の受け渡しのダイナミックな演出は流石。
それと、犯人が麻薬患者を利用し、その阿片窟の描写が
映像にオドロオドロしさがあって面白かった。
音楽の佐藤勝は早坂文雄路線の定番サウンドで目新しくないが
ラスト近く、犯人を追い詰める場面で”オー・ソレ・ミオ”を
ラジオから流して、クロサワらしい映像と音楽の対位法を狙った。
本当はプレスリーの”イッツ・ナオ・ネヴァー”が
版権を取れなかったらしい。

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