此の映画、此のポスターに見覚えがあり
観たと思っていたが未見であった。
監督は、レッドフォードのデビュー作「雨のニューオリンズ」以来
コンビが多い監督シドニー・ポラック。
60年代アメリカ映画にはTVから流れた人材が多く
彼も俳優からスタートし監督となった一人だ。
私にはジェーン・フォンダ主演の「ひとりぼっちの青春」が印象深い。
ポスターを見ると西部劇に見えるが
では無く”マウンテンマン”と呼ばれる狩人の話だ。
1850年代、文明開化進むアメリカで敢えて都会を嫌い
ロッキーマウンテンの山奥での生活に生き甲斐を求めた男
ジェレマイア・ジョンソンの生涯を描いている。
とにかくレッドフォードが演じる彼のそのタフな生き方に圧倒される。
今流行のアウトドアキャンプの経験も無く、いきなり山奥に入る彼は
運よくベテランの熊撃ちの爺さんと出会い、そのノウハウを指南してもらう。
その爺さんと別れた後も運よく凍死していた猟師の銃を手に入れ、
どんどん山奥へ入る。しかし、そこは先住インディアンが多く住む土地であった。
次に出会ったのは、その先住インディアンに襲われ
子供3人のうち、2人を殺され気が触れた女。
子供の墓を掘ってやり、家の中に怯えた少年1人を見つけた彼は
町に送り届けることを女に約束する。
しかし、その少年はインディアンに襲われた恐怖で口がきけなくなっていた。
その途中、顔だけ残し土に埋められた狩人を助け道連れになる。
そして彼と友好関係にあるインディアンの部落に連れていかれ、
そこで酋長の娘を嫁に押し付けられる。
それからはインディアンの妻と少年との奇妙な旅が始まる。
最初はその習慣の違いに戸惑っていた彼らも、いつしか、
心が通い3人協力して丸太小屋を建てる。
そのプロセスにアメリカのD.I.Yの基本精神が感じられる。
バッファローを撃ちに行って狼の群れに襲われ負傷したり
彼らの生活は危険を伴い楽ではないが、
それでも暇なときは3人でクリケットまで楽む彼らが微笑ましい。
そこ迄は幸せな家庭を築いた思えた彼の前に騎兵小隊が現れ、
遭難しているキリスト教の布教幌馬車隊の道案内を強引に頼まれる。
その道筋にインディアンの墓場が有り、彼は聖地を汚してはならないと
反対したにも関わらず騎兵隊は聞かず通ってしまう。
そこで彼は騎兵隊と別れ、不吉な気配を感じ急いで家に戻るも、
時すでに遅し、妻と少年はインディアン殺されていた。
彼は、先に子供を殺された女の様に生きる気力を失うが
それを救ったのは外から家を覗く愛馬であった。
彼は思い出の詰まった家に火を放ち弔うが、その余裕もなく、
聖地を汚されたインディアンが次から次へと執拗に彼を襲って来る。
此のインディアンは”クロウ”と呼ばれる部族、
彼は度々襲われながらも彼らを倒すので
"Crow Killer"の名前が付く。
果たして、いつまで彼の闘の旅は続くのか・・・
ドラマチックな脚本は「地獄の黙示録」のジョン・・ミリアスが絡んでいる。
シドニー・ポラックの演出は西部劇のそれではなくリアリズムそのもの。
レッドフォード以外の俳優たちも皆それらしく汚く
インディアンも皆、我々日本人と同じモンゴロイドの面構え。
ロケはユタ州サンダンス、そこはレッドフォードの本当の家が在り、
後に彼は映画学校と映画祭を作っている。
それでも場所は美しいが険しいロッキー山脈、
さぞかし撮影は気象条件など困難を極めたろう。
「明日に向かって撃て」の成功の後、此の作品に挑戦した
レッドフォードとシドニー・ポラックの勇気を称えたい。
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