「トム・ホーン」(1980);ウィリアム・ウィアード
だいぶ前だが伊東のスナックで映画好きと言う女の子に
スティーブ・マックイーンの話をしたら彼女は知らないと。
そうか、もうそんな時代かと。
先日、BSでオンエアしていた「タワーリング・インフェルノ」で
共演していたポール・ニューマンを抜き
ハリウッドで一番ギャラが高い俳優になった彼は
その後、生活が荒れ、カー・レースとドラッグに明け暮れたが
1978年に癌が発見され、それ以降治療に専念していたが
此れは遺作となった「ハンター」の一つ前
西部劇としては最期の作品だ。
それに相応しく、西部開拓史の終焉に実在した
トム・ホーンの自伝を描いたもの。
製作にも名を連ねているから自ら選んだものだろう。
南北戦争時には無法者を追った賞金稼ぎも
戦争が終わり、流れ着いた町で彼の事を良く知る牧場主に
牛泥棒を捕まえてくれと雇われる。
此の牧場主役にリチャード・ファンズワース
カナダ製西部劇映画「グレイフォックス」の名優
牛泥棒を捕まると言っても彼のやり方は殺すか殺されるかだけ
此の泥棒を寡黙に追う姿は「グリット」の刑事に重なる。
最初は治安が良くなったと喜んでいた町の人も
彼のやり方が乱暴だと段々疎ましくなり
牧場で少年が撃たれたという事件を
彼が犯人と決めつけ彼は逮捕されてしまう。
逮捕された先は今度は「大脱走」や「パピオン」
彼は檻に入れられるのが嫌なのだ。
地方議員を目指し何としても彼を死刑したい保安官の企みで
死刑の判決に彼は逃げ出す・・・と
まあ、マックイーンにあ当て書きの様なシナリオだが。
撮影が名手ジョン・アロンゾ。
彼はメキシコ系で「荒野の7人」の時まで俳優だったが
その後カメラに転身「チャイナタウン」「さらば愛しき人よ」の
キャメラマンを務めている。
西部の挽歌を象徴するワイオミングの情景が
見事に画面に治っている。
そうカウボーイやガンマンが行き難くなった此の時代の
西部劇はアクション映画なのに、どれも哀しい。
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