2019年3月6日水曜日

永遠のジャンゴ(2017)
ジャンゴ・ラインハルトの音楽は知っていても
彼がどういう人物であったかは殆んど知られていない。
物語はパリがドイツの占領下にあった時代。
ナチスはユダヤ人の虐待虐殺(ホロコースト)以外に
有色人種や彼の様なジブシーも迫害した。
それはポライモスと呼ばれ、なんと22万から150万人も犠牲になっている。
数が曖昧なのは彼らが流浪の民であったからだ。
そんな時代に森の中でギターを弾くジブシー達が
子供もろともナチスに虐殺される場面から映画は始まる。
そしてジャンゴはまだ、そんな時代に気づかず劇場の開幕前、
のんびりと川で釣りをしている。
そう、此の映画は脚本家エチエンヌ・コマールの初監督作品だから
やたらテンポが遅く、中々ドラマに入っていかない。
だいぶ前のフランス製ジャズ映画「ラウンド・ミッドナイト」に
似ていると言えば分かりやすいか。
それでもジャンゴを演じるレダ・カテブの風貌が、
ジャケットでしか観たことのないジャンゴは
さもあらんという位成りきっていて
「ボヘミアン・ラプソディ」のフレディ・マーキュリーを
演じたラミ・マレックと良い勝負。
有名な3本指の演奏も吹替の効かないフルサイズ場面を見事にこなしている。
結局、ジャンゴがナチスの迫害から逃れ、
スイスへと亡命しようと国境の村へ辿り着いた辺りから
映画は緊張感を増し、彼がレジスタンスを助けるために
ワザと派手な演奏したり、真冬の雪の中の逃亡はハラハラさせる。
それでも何処かノンビリしているジャンゴのキャラクターに
フレディ・マーキュリーとは違うフランス映画らしいリアリティがある。
残念なのはジャンゴの有名なレパートリィーが余り出て来ず
出ても短いフレーズなのでジャンゴの音楽ファンとしては物足りない。
それでも彼が逃亡中にギター曲では無いが
教会のパイプオルガンで作曲したジプシー(流浪の民)への
レクイエムが披露されるラストに泣ける。
「ルシアンの青春」「ル・ジタン」と共に映画に使われたジャンゴ
いや描かれたジャンゴとしてマニアは持っていなければなるまい。

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