二つの戦争映画
まずはデンマークのプロデューサーが
ドイツ人の監督とハリウッドの俳優で製作した
「第27囚人戦車部隊」(1980)
囚人を刑務所から出して激戦地に送る映画といえば
ロバート・アルドリッチ監督の名作「特攻大作戦」があるが
これは殆どプロットが同じ小説の映画化。
「特攻・・」はアメリカ軍対ドイツ軍だったが
でもコチラは第二次世界戦争末期のドイツ軍対ロシア軍の話。
ドイツの兵隊が英語を話すのは、なんとも不自然だが
まあ、映画だから許そう。
それに私の好きな俳優が沢山出てるしネ。
ブルース・デイビソン(「いちご白書」)
デヴィット・キャラダイン(「燃えよカンフー」)
オリバー・リード(「脱走山脈」)と
ヒト癖もフタ癖もある役者ばかり。
更に戦車や武器がマニアが喜びそうなレア物がウジャウジャ。
以前、ここでも取り上げたロシア映画
「ホワイト・タイガー」も、そうだったが。
それでも、B級映画ばかり撮っている此の監督
どこか”ツボ”を外してしまい、今一つラストのオチも効き目なし。
それで、物足りないので録画していた
もう一つの戦争映画
「ドローン・オブ・ザ・ウォー」(20014)
アメリカはヴェトナム、イラン・イラク戦争での
膨大な死傷者の数に世論の批判を受け
9.11以降のアフガン攻撃に、まず、軍人を現地に行かせず
無人探査機(ドローン)で目標を定め
無人攻撃機で爆撃するという作戦に変更した。
此の映画の主人公はパイロットだったが
その経験を生かして此のドローン攻撃に参加させられている。
ラスベガスの近くの軍事基地のエアコンの効いた部屋で
日がな一日、TVゲームの様にボタンを押しては
爆撃を繰り返している。
アフガン上空5000kmから男女どころか人相まで
鮮明に映す高精度カメラ。
アフガンの粗末な土壁の町並みと、高度に文明が進んだラスベガスの
高速道路や高層ビルのコントラストが
この映画のテーマを象徴している。
彼ら(アルカイダ)を殺さなければ、自分たちアメリカ人も
殺されるとC.I.Aは無差別な爆撃を主人公に要求してくる。
映像だけ、ボタンだけの実感のないヴァーチャルな戦闘に
主人公は元のパイロットに戻りたいと願い出るが却下される。
爆撃殺人という罪の意識にだんだん精神を蝕まれ、
ついには主人公は家庭も崩壊してしまう。
此の主人公を”真面目な米国映画”といえば
必ず出てくる超真面目・俳優イーサン・ホークが演じ
観ている方も居た堪れない気分になってしまう。
国こそ違え、時代も変わってはいるが
戦争の大きな犠牲になんの反省もしていない
人間たちの愚かな歴史をつくづく感じさせる2本だ。
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