2017年3月15日水曜日

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ホワイトタイガー (ナチス極秘戦車・宿命の砲火)

鉄道マニアと同じように戦車マニアというのが居るらしい。
そんな人は此のタイトルに飛びついてしまうだろう。
何せ第二次世界大戦にドイツが作った最強の戦車なのだから。
ストーリーは戦争末期
ベルリンに侵攻しようとするロシア軍戦車部隊の前に
幽霊のように忽然と現れて
ロシア軍の戦車を悉く壊滅してしまう、恐ろしい此の極秘戦車
その名も”ホワイト・タイガー”と呼ばれ恐れられた。
これは、その砲撃で全身火傷を負った兵士の物語。
しかし此の兵士、その後、何故か奇跡のように火傷が消え
さらに彼には戦車の心が読めるという不思議な超能力を得る。
ロシア軍はホワイトタイガーに対抗するために
新しく頑丈でスピードのある戦車を製造し、その操縦を彼に託す。
その主人公、此の様に何とも頼りない風貌だが、
行動は神がかりで2砲手を従え彼の戦車だけ生き残る。
映画のクライマックスは
ホワイトタイガーvsロシアのT-34/85改良型の一騎打ち。
先に映画「スターリングラード」で独露スナイパー同士の
一騎打ちという作品もあったがコレは戦車。
何となく少年の”戦争ごっこ”の楽しさを掻き立てるが
現実は戦車が破壊され操縦士や兵士は火だるまにされ
東京大空襲やヒロシマ、ナガサキの様に惨たらしく
真っ黒焦げで死んでゆく。
戦争アクション映画らしいカタルシスは皆無だから
それを期待して観た人は肩透かし。
此の監督の本当の狙いは戦争の悪夢の象徴としての
ホワイトタイガーなのだ。
まさに悪魔の様に現れ、殺戮を繰り返し消えてゆく
主人公は此の戦車を追い詰め、破壊したかの様に見えたが
それは又、幻のごとく消え去る。
まるで、それが戦争というものの正体が如く。
物語の終盤、ドイツの無条件降伏の調印式での
お偉いさん達は敵味方とも間抜けな人間として描かれる。
一握りの愚かものが戦争を起こしたかの様に。
ラストにヒットラーの様な奴がインタビューに答え
「ヨーロッパが望んだから此の戦争が起きたのだ!」と開き直る。
まるで、国民が私を大統領に選んだのだ!とトランプが言ってる様だ。
主人公は呟く
「いつの時代でも”ホワイトタイガー”は現れる・・・」
監督は彼の歴史感を伝えたかったのだ。
此の作品、アカデミー外国映画賞にノミネートされたが
ファイナルには残らなかったと。
まあ、それは米国アカデミーに此のアイロニーに満ちた
パラドックスは到底、理解できないだろう。
”ホワイトタイガー”という戦車に”寓意”を持たせ
戦争をダーク・ファンタジーと捉えた
ロシアのカレン・シャフナザーロフ監督、なかなかヤルではないか!




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