2015年9月3日木曜日

 「ブリッツ」2011
人気スターに”甘い二枚目”と云う呼び名があるなら
此のジェイソン・ステイサムはまるで対局の存在。
云うなれば”辛口の男”と呼べば良いだろう。
男性ホルモンの強さを象徴するハゲに
薄汚い無精髭を生やした此の男の
何処に魅力が?と思われるだろうが
とにかく彼が主演している映画に外れは無い!
正義も悪も関係なく、ガムシャラに突き進む姿は
首輪の外れたドーベルマン犬の勢い。
コンドームも破れる激しさ(なんじゃ、それ?)
まあ例えれば、C・イーストウッドの「ダーティー・ハリー」
ジーン・ハックマンの「フレンチ・コネクション」と
受け継がれたアウトロー刑事の系譜だ。
此の作品も、彼の”暴走”をただ観てれば良いかと
思っていたら、流石にイギリス映画、ちゃんとヒネッある。
人気推理作家ケン・ブルーウンの原作を
ベテランの脚本家エリオット・レスターが
満を持して初監督したからだ。
話は連続警官殺しの犯人を追うサスペンスだが
此の犯人が凄い変質者で映画的には、とても魅力が有る。
演じたのがアイルランド出身の俳優エイダン・ギレン。
若い頃のゲイリー・オールドマンを彷彿とさせる。
自ら”ブリッツ=稲妻”を名乗り
その危険な雰囲気が此の映画を面白くした。
敵役が憎らしい程,映画のエモーションは増すのだ。
主人公の相棒に、彼の上司でもあり
皆に馬鹿にされているゲイの新任警部役
バディ・コンシダイン、彼は映画監督もする実力派。
此れ等の役者の渋い演技のアンサンブルと
イギリス映画らしいスタイリッシュな映像が
此の作品を只のアクション映画では無いものにした。
ジェイソンとバディの”剛と柔”の警官コンビは、
一度は犯人を追いつめ、捕まえたものの
ズル賢い犯人は証拠不十分で保釈と成ってしまう。
しかし同僚警官を3人も殺されて
”此れじゃ俺達の気分が納まらねえ”と
二人の刑事がタッグを組み
ほくそ笑む犯人に強烈なオトシマエを付ける。
そのカタルシスは東映ヤクザ映画の様
エンディングは久々に胸のすく思い。
ジェイソン・ステイサムのアクション物が
アメリカ映画の、それと違うのは
徹底した、そのハード・ボイルド加減
此の”バイアグラ状態”のオデコを見たら納得が行くだろう。

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