2012年12月20日木曜日

此のサイトは映画の感想がメイン、久しぶりに作品を。

 ルーキー(1990)
もう82歳だというのに相変わらず精力的に監督を続けている
クリント・イーストウッド。
その彼が”ダーティーハリー”シリーズを終わらせた後に
又刑事役を自ら演じ監督した作品だ。
派手なアクションシーンは此の頃はアイドルだった
相棒役のチャーリー・シーンに任せている。

此のサイトでは繰り返し云っているが
映画は1にシナリオ、2にキャスティング。

此の作品が面白くなったのは、何と云っても敵役だ。
映画「蜘蛛女のキス」の怪優コンビ
プエルトリコ出身のラウル・ジュリアと
ブラジル生まれのソニア・ブラガを持って来た。
敵役が頭が良く、強いほど映画は楽しくなる。
ラウル・ジュリアがアクの強い顔でイーストウッドを
さんざん、いたぶるほど緊張感が高まる。
そしてセクシーなソニア・ブラガ。
女だてらに空手を使い二人の刑事の急所を蹴り上げ、
おまけに色情狂らしく、手錠をされたままのイーストウッドに
股がり、カミソリを手に、逆レイプするのだ。
それを又ヴィデオに撮って楽しむという変態さは
「ダーティ・・・」以来イーストウッドが師匠と仰ぐ
「白い肌の異常な夜」の監督ドン・シーゲル好みの素材でもある。
 
とにかく水谷豊のTV「相棒」の原型が此処に有ると思える
ベテラン刑事が、新米(ルーキー)刑事を教育するパターンに
セルジオ・レオーネ監督風のヴァイオレンスで観客のド肝を抜き
テンポの良いカーチェイスや飛行場での執拗な追跡シーンは
息も付かせぬ迫力で全く飽きさせないプロの技。
そしてチャーリー・シーン親子の確執など、エモーションの
盛り上げ方と構成力の確かさは
此の後の「許されざる者」(1992)でアカデミー作品賞を取った
イーストウッドが監督として映画技法に目覚めて行く過程が
この映画には、まさしく感じられる。

それと近作「グラン・トリノ」でも感じられたイーストウッドの
車に対するフェテシズムは、名車を高速道路で次々と破壊し
「此の車を、こんな色に塗り替える奴は許せねえ」という
セリフをチャーリー・シーンに云わせている。
まあイーストウッド・マニアは必見の映画ですな!

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